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広島高等裁判所 昭和50年(行ウ)5号 判決 1976年11月08日

呉市西愛宕町一三番二号

控訴人

山下真揮人

右訴訟代理人弁護士

元村和安

呉市西中央二丁目一番二一号

被控訴人

呉税務署長

小池栄

右指定代理人

河村幸登

恵木慧

吉平照男

岩井清

重村誠

右当事者間の更正決定取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  申立

抗訴人は「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対し昭和四〇年九月一〇日になした昭和三六年ないし同三八年の各事業年度(各年の一月一日から一二月末日までの間、以下、三六年度、三七年度、三八年度という。)の所得に関する更正処分のうち、(一)三六年度更正事業所得額一四、五〇四、四〇二円のうち七、六八〇、〇三二円を超える部分(二)三七年度分更正事業所得額二二、七七九、八一六円のうち九、一五九、〇〇〇円を超える部分(三)三八年度分更正事業所得額一九、七六六、七六四円のうち一三、七七一、一三四円を超える部分及び被控訴人が控訴人に対し同日になした(一)三六年度分事業所得に関し、過少申告加算税一〇五〇円、重加算税二、四二二、〇〇〇円(二)三七年度分事業所得に関し、過少申告加算税三、四五〇円、重加算税二、四八五、二〇〇円(三)三八年度分事業所得に関し、過少申告加算税八、七五〇円、重加算税二、〇〇一、三〇〇円を賦課する処分(以上すべてを含めて本件処分という。)を(但し、広島国税局長の裁決によつて取消された部分を除く。)いずれも取消す。訴訟費用は一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。

二  主張

当事者双方の主張は、次に加除訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決一九丁上欄裏四行目「肩書地において」とあるのを削る。

同二〇丁上欄表四行目「被告」とあるのを「控訴人」と改める。

同二八丁下欄裏三行目「三八年度」とあるのを「三七年度」と改める。

同三二丁下欄裏四行目「銀行」とあるのを「金庫」と改める。

同三六丁下欄裏九行目、同別表三番号22被告主張額欄「九二四、六五四」とあるのをいずれも「八二〇、六五四」と改め、同三七丁下欄表二、三行目「二三三、八五〇円」とあるのを「一二九、八五〇円」と改め、同丁下欄裏一〇行目初めから同三八丁下欄表八行目終まで(上欄にはみ出た分を含む。)を削る。

同三九丁下欄裏一〇、一一行目「二六、一五七、五八二」、同別表三番号29被告主張額欄「二六、二五七、五八二」とあるのを、いずれも、「二六、一五三、五八二」と改める。

同四二丁上欄表全部及び同下欄表七行目初から同裏五行目終まで(上欄にはみ出した分を含む。)を削る。

同丁下欄裏八、九行目、同別表四番号29被告主張額欄「二三、四七六、五八〇」とあるのをいずれも「二三、三五〇、七八〇」と改め、同表番号22被告主張額欄「七八〇、六七〇」とあるのを「六五四、八七〇」と改め、同表番号30原告が本訴で主張する額欄の数字を同番号29の同欄に移記する。

同別表二ないし四の原告記帳額欄の記載全部を削る。

2  控訴人が当審において追加した主張

(1)  控訴人は、かねてからパチンコ店を経営してきたものであるが、その営業規模・環境の変化がなかつたら、本件係争各年度の収入は、前後の年度の収入と特に異るわけがない。

控訴人の昭和三四、同三五年度の総所得額はそれぞれ六、三八四、三〇四円、六、六三五、五〇〇円であつて、被控訴人もこれを認めてこれに基づいて徴税している。

被控訴人の主張する本件係争各年度の総所得額は、右金額と格段の差があり、首肯し得る事情が存しない。

(2)  被控訴人の主張する預金の源泉には、本件係争年度前における控訴人の営業収入・パチンコ店売却代金も含まれている。

三  証拠関係

当事者双方の証拠の提出・援用・認否は、控訴人が甲第一四号証の一ないし三、第一五ないし第一七号証を提出し、当審証人山下カツミの証言、当審における控訴本人尋問の結果(第一、第二回)を援用し、被控訴人が甲第一四号証の一ないし三、第一六、第一七号証の成立を認め、甲第一五号証の成立を不知と述べた旨追加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

理由

当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり加除、訂正するほか、原判決が理由として説示するとおりであるから、これを引用する。

1  原判決三丁表二、三行目「及び同22雑収入」とあるのを削り、同四行目「被告の処分が適法」とあるのを「被控訴人の認定が正当」と改める。

2. 同五丁裏八行目末尾の次に左のとおり加える。

「成立に争いのない甲第一四号証の一ないし四、当審における控訴本人尋問の結果(第一、第二回)によると、控訴人が昭和三六年中にその所有不動産を売却したことが認められ、右本人尋問の結果(第二回)により成立を認める甲第一五号証、右尋問結果によると、右売却価額は八〇〇万円というのであるが、右はにわかに信じ難く、仮にそのとおりであつたとしてもいまだ前記認定を左右するに足りない。」

3. 同六丁裏九、一〇行目「昭和三七年度中における仮払(貸付)金増加額として合計金三、五六九、七一七円」とあるのを「昭和三六年及び同三七年の各年末における仮払(貸付)金額として、原判決七丁裏から八丁表にかけて掲記された表に記載された金額(但し、<2>三六、一二、三一現在、山一汽船欄に「一」とあるのを「〇」と改める。以下同じ。)」と、同七丁表五ないし七行目「昭和三七年度中における仮払(借入)金増加額として合計金一〇、九六九、二五〇円」とあるのを「昭和三六年及び同三七年の各年末における仮払(借入)金額として原判決七丁裏から八丁表にかけて掲記された表に記載された金額」とそれぞれ改める。

4. 同一二丁裏七行目、同一四丁表一行目「三八」の各記載、同一二丁裏九行目、同一四丁表二、三行目「金六五四、八七〇円」の各記載、同一三丁裏二行目初から同丁終まで、同一四丁表四行目初から同一五丁表九行目終までをいずれも削る。

5. 同一五丁表一〇行目初から同裏三行目終までの記載を次のとおりに改める。

「(五) まとめ

そうすると、三七年度の支払利息に関し、被控訴人の主張が容れられないものと仮定しても、控訴人の三六、三七、三八年度の各事業所得は、いずれも被控訴人の本件各更正処分中、課税標準たる事業所得金額の認定額を下らないことが明らかであるから、本件各更正処分中右認定はこれを取消すべき限りでない。

成立に争いのない甲第一六、第一七号証、当審における控訴本人尋問の結果(第一、第二回)、弁論の全趣旨によれば控訴人はかねてからパチンコ店を経営し昭和三四年頃以降においてその営業規模・環境に顕著な変化がみられなかつたこと、被控訴人は、控訴人の所得につき調査の上、昭和三四、三五年度の総所得金額をそれぞれ控訴人主張のとおりに認定し、これに基いて算定された所得税の納付を受けていること、控訴人は、昭和三九年六月自己を代表者とする株式会社ローズを設立し、同会社が控訴人のパチンコ店営業を引継いだところ、同会社の昭和四一年三月末までの各事業年度の法人税について被控訴人がなした更正処分において認定された事業所得金額が本件裁決における本件係争各年度の事業所得金額をかなり下回つていることが認められる。しかし、右事実によつて、控訴人あるいは右会社の右各年度の総所得あるいは事業所得金額が右認定のとおりであると断ずる(これに副う前掲本人尋問の結果はにわかに信用し難い。)ことはできないし、たとえ、そのとおりであつたとしても、本件各係争年度の収支につきさきに述べた認定をくつがえし、被控訴人主張の事業所得金額が過大でないとの判断を不当とすることはできない。」

6. 同丁裏一一行目「確定申告」から同一六丁裏九行目終までを次のとおりに改める。

「期限内に、さらに申告期限後に修正確定申告として、それぞれ六、六七四、四七四円、九、一五九、〇〇〇円、九、三三三、一四五円として、各確定申告をしていること(被控訴人がこれを((裁決による取消後において))三六年度につき一四、四九五、九八六円、三七年度につき二二、二〇六、四二七円、三八年度につき一七、七三八、七七二円としたことが適法であることはさきに説示したとおりである。したがつて、控訴人は、すくなくとも((修正確定申告によつても))その事業所得に関し、三六年度分につき七、八二一、五一二円、三七年度分につき、一三、〇四七、四二七円、三八年度分につき八、四〇五、六二七円の過少申告をしたことになり、特段の事情の認められない本件では、右各年度の総所得金額においても右各金額を下らない過少申告があつたとみるのが相当である。)右過少申告額のうち、すくなくとも、被控訴人が重加算税の対象となる部分として主張する金額を下らない額について、控訴人が売上げの一部を脱漏し、あるいは仕入額を過大に計上するなどしてローズパチンコ店の帳簿に記帳して簿外所得を造出した結果なされたものであることが認められ、これら認定に反する証拠はない。そして、前掲乙第二〇号証、弁論の全趣旨によると、各対応税差額がいずれも被控訴人主張のとおりであることが認められる。」

よつて、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 胡田勲 裁判官 高山晟 裁判官 下江一成)

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